上場しているのに成長できない会社。成長できるのに上場できない会社。
日本の株式市場には、上場を果たしながらも新しい成長戦略を描けずにいる企業があります。一方、独自の技術や商品、優れたビジネスモデルを持ちながら、資金調達の壁によって成長の機会を逃している未上場企業もあります。
もし、この2つの企業が手を組んだら、何が生まれるのでしょうか。
PIPES.jpでは、上場企業の再生と未上場企業の成長を同時に目指す、資本提携・M&Aという新しい選択肢に注目しています。
上場企業には市場がある。未上場企業には未来がある。
上場企業が抱える課題
- 株価や時価総額が低迷している
- 既存事業の収益力が低下している
- 新しい成長事業を育成できない
- 資金調達のための成長戦略を示しにくい
- 上場維持に向けた改革が必要
未上場企業が抱える課題
- 優れた技術や事業モデルがある
- 顧客や市場の成長余地がある
- 設備投資や運転資金が不足している
- IPO準備に時間と費用がかかる
- 資金不足によって事業拡大が進まない
一見すると異なる問題を抱えている2社ですが、上場企業には資本市場へのアクセスや信用力があり、未上場企業には成長性のある事業や技術があります。双方の経営資源に補完関係があれば、資本提携によって新たな企業価値を生み出せる可能性があります。
未上場企業には成長のための経営基盤を。
上場企業に必要なのは、増資の理由となる成長事業
上場企業は株式市場を通じて資金を調達できます。しかし、上場しているだけで投資家から資金が集まるわけではありません。投資家が重視するのは、将来の収益成長と事業計画の実現可能性です。
成長戦略が不明確なまま増資を繰り返しても、投資家の支持を得ることは容易ではありません。既存株主の希薄化が進み、株価が低迷すれば、次の資金調達がさらに難しくなることもあります。
こうした企業にとって、有望な未上場企業との事業統合は、新しい収益基盤を獲得するための選択肢になり得ます。
成長事業を実現するために資金を調達する。
未上場企業は、必ずしも自力でIPOを目指す必要はない
優れた事業を持つ未上場企業にとって、IPOは魅力的な選択肢です。しかし、監査対応、内部統制の整備、管理部門の強化、上場審査への対応などには、相応の時間と費用が必要です。その間に、本来優先すべき商品開発や営業活動への投資が不足することもあります。
そこで考えたいのが、既存の上場企業グループに参加する方法です。上場企業との資本提携によって子会社となり、その信用力や販売網、経営資源を活用して本業を成長させる方法です。
未上場企業そのものが新規上場するわけではありませんが、上場企業グループの一員として事業拡大を目指せます。
上場企業と成長企業を組み合わせる資本戦略
例えば、次のような2社があったとします。
A社:東証上場企業
既存事業の成長が鈍化し、新たな収益基盤の確立が必要です。新規事業への進出を考えていますが、社内には十分な技術や専門人材がありません。
B社:未上場の成長企業
独自の技術や顧客基盤を持ち、事業拡大の機会があります。しかし、設備投資や運転資金が不足し、成長スピードを上げられずにいます。
A社がB社を子会社化すれば、新たな収益事業をグループに取り込めます。一方、B社はA社の経営資源を活用し、単独では実現が難しかった設備投資や事業展開を検討できるようになります。
さらに、B社の経営者が統合後も事業責任者を務め、グループ全体の成長戦略に携わる形も考えられます。重要なのは、双方がそれぞれの強みを生かし、統合後の事業価値を高めることです。
未上場企業の経営者が、上場企業の経営に参画する可能性
資本提携は、単なる子会社化にとどまるとは限りません。上場企業が未上場企業を買収する対価として自社株式を交付する場合、未上場企業の旧株主が上場会社の株主となることがあります。
既存株主からの株式取得や第三者割当増資を組み合わせる方法も考えられます。その結果、未上場企業の旧経営陣が上場企業の取締役や事業責任者として経営に参画する可能性があります。
ただし、未上場企業が上場企業の子会社になることと、上場企業の経営権を取得することは別です。取得株式数、議決権割合、既存株主の構成、必要な株主総会決議などを踏まえて、適切な経営体制を設計する必要があります。
PIPEsを活用した成長資金の確保
PIPES.jpが継続的に分析している資本政策の一つが、PIPEs(Private Investment in Public Equity)です。上場企業が特定の投資家に株式や新株予約権などを発行し、資金を調達する方法です。
成長企業との事業統合によって新たな事業計画を持つことになった上場企業が、その成長資金を確保するためにPIPEs型の資金調達を検討する場合も考えられます。主な資金使途には、新工場の建設、研究開発、人材採用、新たな事業拠点の整備などが想定されます。
ただし、PIPEsは調達成功を保証するものではありません。特に新株予約権を利用する場合、株価や権利行使の進捗によって実際の調達額が変わることがあります。また、既存株主の希薄化や市場への売却圧力など、資本政策上のリスクも検討する必要があります。
それが企業価値向上への第一歩です。
資本提携には、制度とガバナンスへの対応が欠かせない
上場企業とのM&Aや資本提携には、金融商品取引法、会社法、証券取引所の上場規則などが関係します。
東証では、希薄化率25%以上の第三者割当や支配株主の異動を伴う第三者割当について、原則として独立第三者からの意見取得、または株主意思確認などの手続きを求めています。
また、未上場企業との統合によって上場企業が実質的な存続会社ではなくなる場合には、不適当合併等に関する審査が問題となることがあります。
したがって、既存の上場企業と統合すれば、未上場企業が無条件に上場会社としての地位を得られるわけではありません。企業価値評価、既存株主への影響、資金調達の実現性、経営体制、会計・税務上の処理などを総合的に検討することが必要です。
IPOを目指す前に、もう一つの成長戦略を考えてみませんか
未上場企業にとって、自社を成長させる方法は一つではありません。自力でIPOを目指す方法もあれば、ベンチャーキャピタルや事業会社から出資を受ける方法もあります。そして、上場企業との資本提携やM&Aによって成長を加速させるという選択肢もあります。
同じことは、企業価値向上を目指す上場企業にも当てはまります。既存事業だけで成長を実現するのが難しいなら、有望な企業との提携によって新しい事業構造を築くことも考えられます。
成長できるという強みを結び付ける。
私たちは、それがこれからの企業再生と成長戦略の重要な選択肢の一つになると考えています。
上場企業との資本提携・M&Aを検討している経営者の方へ
PIPES.jpでは、上場企業の第三者割当増資、PIPEs、資本業務提携、M&Aなどの事例を分析し、企業の成長と経営再建につながる資本政策を研究しています。
上場企業と未上場企業の双方から、資本提携・事業統合に関するご相談を受け付けています。
未上場企業の経営者の方
- 成長事業があるが拡大資金が不足している
- IPO以外の成長戦略を検討したい
- 上場企業との資本提携に関心がある
- 経営参画を含む事業統合を考えている
上場企業の経営者・主要株主の方
- 新しい収益事業を取り込みたい
- 既存事業の成長鈍化を打開したい
- M&Aによって企業価値を向上させたい
- 財務再建と成長投資を両立させたい
まずは、事業内容や経営上の課題、将来の構想をお聞かせください。ご相談内容を確認したうえで、必要に応じて資本政策・M&Aの専門家との検討につなげます。
ご相談内容は適切に管理し、紹介先への共有は事前の同意を前提とします。
※本記事は一般的な資本政策・M&Aに関する情報提供を目的としています。特定の有価証券の取得・売却や投資を勧誘するものではありません。
※資金調達、M&Aの成立、株価上昇、上場維持などを保証するものではありません。具体的な取引では、法務・会計・税務および金融商品取引法等の専門的な確認が必要です。


