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【PIPES応用事例】日本製麻、再建フェーズで挑む第三者割当の戦略性

【PIPES応用事例】日本製麻、再建フェーズで挑む第三者割当の戦略性

【PIPES応用事例】日本製麻、再建フェーズで挑む第三者割当の戦略性

投稿日:2023年12月6日
企業名:日本製麻株式会社(JASDAQ:3306)
発表文書:公式IR資料


◆ 概要:日本製麻、再起をかけた第三者割当

2023年12月6日、日本製麻株式会社は、経営再建に向けた新たな資本政策として、第三者割当による新株式および新株予約権(ワラント)の発行を発表しました。

割当先は、東京の合同会社SUNFUND1号。このスキームにより、日本製麻は最大約4.1億円規模の資金調達を見込んでいます。

◆ 発行の詳細

  • 発行株式数:6,200,000株(1株あたり37円)
  • 新株予約権数:28,200個(1個あたり100株、行使価格33円)
  • 予約権総潜在株数:2,820,000株
  • 調達金額(最大):約4億1,106万円(手取概算)
  • 割当先:合同会社SUNFUND1号(東京都港区)

◆ スキームの特徴と「PIPES応用型」視点

今回のスキームは、典型的なPIPES(私募増資型)ではあるものの、次のような応用的要素が見られます:

  1. ファンド型引受:合同会社SUNFUNDは設立間もない資金運用目的の投資ビークルとみられ、実質的なファンド型スキーム。
  2. 希薄化を抑える分割構造:即時発行の普通株と予約権のハイブリッドで、初期希薄化を抑制。
  3. 段階的資金調達設計:ワラントの行使価格が発行株価よりも低く設定されており、将来的なインセンティブを加味した設計。
  4. 再建フェーズを前提とした成長期待:これまでの構造改革に次ぐ再起戦略の一環とみられます。

◆ 資金使途

調達した資金は以下の通り、明確に事業の回復・強化へと振り向けられます:

  • 既存借入金の返済:約2.4億円
  • 製造設備・更新投資:約1.0億円
  • 販売チャネルの再構築費用:約5,000万円

◆ QUETTA合同会社との比較視点

類似スキームとして話題になった、株式会社ベクターホールディングスのPIPES事例との比較では、以下の違いが注目されます。

  • ベクター:成長投資型(AI・高性能サーバー)
  • 日本製麻:再建型(借入返済・設備更新)

つまり、本件は「再建PIPES」として、今後のグロース市場における資金調達手法として参考性が高いといえます。


◆ まとめ:PIPESが再建企業の道を拓く

日本製麻の今回の増資は、希薄化リスクを受け入れつつも、事業継続と構造改革の完遂に向けた一手です。

再建フェーズの上場企業においても、市場を通さず、迅速かつ柔軟な資金調達が可能なPIPESの魅力が再認識されています。

今後、同様のスキームが他の低時価総額銘柄にも波及する可能性は十分にあるでしょう。

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