成功事例は?
PIPES(私募による上場企業への投資)を活用して資金調達に成功した企業は、実は少なくありません。
本セクションでは、上場企業がどのようにスキームを設計し、どのような成果を得たのかを事例ベースで紹介します。
経営再建・成長加速・M&A支援など、目的別に分類し、参考になる実例をわかりやすく解説しています。
1. 株式会社クックビズ:固定型ワラントによる成長資金調達
人材サービスを展開するクックビズ株式会社は、コロナ禍での業績低迷を受け、資本政策の見直しを実施。
2021年7月、株式会社スカラとの資本業務提携を締結し、固定型ワラントを活用した第三者割当増資を実施しました。
このスキームにより、約4.89億円の資金調達を実現し、株価はプロジェクト開始時と比較して約1.6倍に上昇。
調達資金は、食にまつわる事業再生M&Aの第一号案件にも活用されました。
参照:第3回新株予約権の権利行使完了および月間行使状況に関するお知らせ(2022年10月21日)
2. 株式会社リネットジャパングループ:再建と社会貢献を両立
小型家電リサイクル事業などを展開するリネットジャパングループは、再建期においてPIPESを活用した資金調達を実施。
2022年、持続可能な資本政策の一環として、ワラント型新株予約権を発行し、成長事業に集中投資。
社会的インパクト投資との親和性も評価され、ESG対応の資金調達モデルとしても注目を集めました。
参照:第三者割当により発行される新株予約権(2022年1月発表)
3. 株式会社キャンバス:希薄化リスクを抑えた創薬資金確保
創薬ベンチャーであるキャンバス社は、将来の新薬承認を見据えた長期戦略の一環として、PIPESを活用。
2023年、研究開発フェーズに応じた段階的な引受契約を結び、条件達成型で転換が行われるスキームを採用しました。
これにより、希薄化を抑えながら研究資金を確保し、投資家との関係も長期視点で設計されています。
参照:第三者割当による新株予約権発行に関するお知らせ(2023年)
4. 株式会社エディア:モバイルゲーム会社の資本政策転換
モバイルゲームやコンテンツ事業を展開するエディア社は、2024年にPIPES形式で第三者割当増資を実施。
ファンドとの連携による転換型新株予約権を採用し、株式希薄化への市場懸念に配慮した設計がなされたことで、IR評価も向上。
調達した資金は新規IP開発や海外展開に活用され、事業展開の加速と同時に財務安定化を実現しています。
5. 株式会社リネットジャパングループ:再建と社会貢献を両立
小型家電リサイクル事業などを展開するリネットジャパングループは、再建期においてPIPESを活用した資金調達を実施。
2022年から継続してワラント型新株予約権を活用したスキームを構築し、成長事業へ集中的に投資を行いました。
特に地方自治体との連携やサーキュラーエコノミー推進など、社会的インパクト投資との親和性が高く、ESG投資の文脈でも注目を集めています。
PIPESを通じて財務基盤の立て直しと社会的評価の獲得を同時に実現した好例です。
参照:「リネットジャパン×PIPES事例紹介」 by ncorn(note記事)
6. 株式会社キャンバス:希薄化リスクを抑えた創薬資金確保
創薬ベンチャーであるキャンバス社は、新薬候補の開発資金を確保するため、段階的な引受契約型のPIPESスキームを2023〜2024年に活用しました。
条件達成ベースで株式が転換される仕組みとすることで、希薄化リスクを最小限に抑えつつ、投資家側のリターン期待にも応える設計を実現。
このスキームは、研究開発の進捗と資本政策をリンクさせる設計として注目され、資金調達の柔軟性と透明性の両立に成功したモデルケースです。