株式会社イオレ、Web3・AI分野へ攻勢 ― JAIC-Web3ファンドとのPIPES契約を実行
2025年4月、株式会社イオレ(証券コード:2334、東証グロース)は、JAIC-Web3ファンドおよび株式会社ZUUを割当先とする第三者割当増資(PIPES)を実施。最大約4.2億円を調達し、暗号資産金融およびAIデータセンター事業への本格参入を表明しました。
◆ 調達スキームの概要
- 株式発行数:500,000株(JAIC 445,000株、ZUU 55,000株)
- 発行価格:543円/株(ディスカウントなし)
- 新株予約権:1,500個(潜在株式150,000株、行使価額:1,000円)
- 調達総額(最大):421,980,000円(株式発行+新株予約権)
- ロックアップ:2年間保有義務+売却報告義務
◆ 資金使途と戦略的意図
今回の調達資金は、以下の2事業に明確に配分されています。
用途 | 金額(百万円) | 支出時期 |
---|---|---|
① 暗号資産金融事業参入準備 | 196 | 2025年4月〜2027年12月 |
② AIデータセンター事業 | 220 | 2025年4月〜2027年12月 |
① 暗号資産金融
AIを活用した暗号資産運用モデルの研究開発、レンディング、トレジャリー事業などを視野に入れており、法制度整備を見据えた新規参入を準備中。
② AIデータセンター
GPUサーバーの仕入・代理販売からスタートし、将来的にはGPU保管・運用まで担うデータセンター事業化を目指す。ZUU、DEA社とのWeb3事業連携も視野に、営業・開発体制を強化。
◆ なぜPIPESなのか?その合理性
- 公募増資より迅速でコスト低
- 希薄化のコントロール(最大24.5%)
- 新株予約権による「段階的資金調達」で成長を連動させる設計
- 行使価額をあえて高め(株価の184.2%)に設定し、成長の“証明”による調達モデルを採用
◆ 資本政策の影響と人事の連動
本件PIPES完了に伴い、JAICから紹介された人物が代表取締役に就任。さらにAI・Web3領域の専門家3名が社外取締役に就任するなど、資本と経営の一体改革を推進。Web3×AIに特化した体制へと大きく舵を切った。
◆ 投資家目線での注目点
- 成長連動型の予約権:事業進捗と株価が連動しなければ資金は入らない、厳しめの設計
- 議決権割合:JAICファンドが最大17.56%を保有し、第2位の株主に浮上(予約権行使時は更に拡大)
- 代表交代と新規事業:人材・投資両面での「脱・広告会社」の布陣に注目
◆ 総評:Web3・AIで二正面作戦、再成長なるか
本件は、「再成長の道」を選んだ東証グロース企業による、攻めのPIPES戦略として注目に値する事例です。成長性を伴わなければ予約権が行使されず、資金も入らない。つまり、本件は株主にとっても成否が可視化されたスキームです。
※本記事は以下の公式開示資料に基づき構成されています:
・「第三者割当による新株式及び新株予約権の発行に関するお知らせ」(2025年3月26日付)
・「代表取締役の異動に関するお知らせ」(2025年5月14日付)
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