【PIPES事例統合解説】ネクスグループの戦略資本再編──未上場企業との提携・買収でWeb3再生へ
東証スタンダード上場の株式会社ネクスグループ(6634)が、2024年〜2025年にかけて実行した一連の資本戦略は、明確に「PIPES的スキーム」と呼ぶべき構造を持っています。
本記事では、①スケブによる支配獲得、②仮想通貨バリューの連結、③Web3事業買収の3段階を通じて、ネクスグループがどのように「経営とトークンの融合再編モデル」を築きつつあるのかを読み解きます。
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【第1段階】スケブベンチャーズによる筆頭株主化(2024年4月)
ネクスグループは、2024年7月をもって未上場企業「スケブ株式会社」との株式交換を実行。
- スケブの親会社「スケブベンチャーズ」が34.05%の議決権を取得
- ネクスグループは形式上の「親会社」だが、実質的な支配はスケブ側に
この構造は、公開市場を使わずに未上場企業が上場企業を乗り越えるPIPES的スキームと解釈可能です。
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【第2段階】仮想通貨銘柄「ネクスコイン(NCXC)」を軸とした事業再設計
スケブと連携している「チューリンガム」との過去の提携実績をベースに、ネクスグループは独自通貨「ネクスコイン(NCXC)」を活用したエコシステム構築に着手。
- Zaifでの取り扱い開始(国内交換所)
- 暗号資産レンディングやトークンエコノミクスの企画が水面下で進行
この通貨の裏付けとして、より強固なWeb3企業群との統合が必要になっていきます。
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【第3段階】ZEDホールディングスの子会社化(2025年2月)
そして2025年、ネクスグループはZEDホールディングス(暗号資産交換業「Zaif」の親会社)を84.38%取得し、連結子会社化を発表しました。
- 買収金額:約5.4億円
- 目的:NCXCの価値向上、Web3フルスタック戦略の確立
ZED傘下には以下の戦略子会社があり、ネクスグループは暗号資産市場において一気に“フルライン体制”を確保しました:
- Zaif(暗号資産取引所)
- チューリンガム(トークン発行・上場支援)
- web3テクノロジーズ(金融派生商品のブロックチェーン応用)
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◆ 総評:ネクスグループは“資本戦略”そのものが再生事業である
本件一連の流れは、従来のPIPES=「ファンド→出資→希薄化」という狭義の構造を超えた、「非公開企業×上場企業×トークン×M&A」による資本ハイブリッド型PIPESといえます。
特筆すべきは、どの資本提携も単なる財務投資ではなく、明確な事業的布石を伴っている点です。
スケブのクリエイター経済圏、Zaifのプラットフォーム、チューリンガムの技術力、それを束ねていくのがネクスグループという“器”であり、PIPESを通じて“トークンエコノミーを組み立てるM&Aモデル”を体現しています。
本記事は以下の開示資料に基づいて構成されています:
- (変更及び訂正)株式交換契約締結に関するお知らせ(2024年4月9日)
- 株式会社ZEDホールディングスの株式取得に関するお知らせ(2025年2月3日)
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