対象会社:窪田製薬ホールディングス株式会社(東証グロース、証券コード4596)
開示日時:2026年10月23日16時10分(案件メタデータによる。添付一次資料本文で確認できるのは2026年10月23日という日付までで、時刻は本文に記載されていない)
開示表題:第三者割当による第41回新株予約権(行使価額修正条項付)及び第42回新株予約権の発行並びに新株予約権の買取契約(コミット・イシュー)の締結に関するお知らせ
案件の要点
【事実】窪田製薬ホールディングスは、EVO FUNDに第41回新株予約権を、代表取締役会長、社長兼最高経営責任者である窪田良氏に第42回新株予約権を、それぞれ第三者割当で発行します。両新株予約権の潜在株式数は各2,000万株、合計4,000万株です。
【事実】全数が当初行使価額60円で行使された場合の差引手取概算額は23億8,055万円です。ただし、発行時に払い込まれる新株予約権代金は合計180万円で、残りは新株予約権が実際に行使された時点で会社に入ります。したがって、23億8,055万円が発行時に一括で入金されるものではありません。
【分析】本件は、株価に応じて行使価額が修正される第41回と、原則60円の固定行使価額を採用する第42回を組み合わせた段階調達型の資本政策です。短期的な調達を意図したEVO FUND向け証券と、中長期の株価上昇局面を想定した経営者向け証券では、資金流入の条件と確度が異なります。
発行条件の一覧
| 項目 | 第41回新株予約権 | 第42回新株予約権 |
|---|---|---|
| 割当先 | EVO FUND(PIPES投資家DB) | 窪田良氏 |
| 割当日・払込日 | 2026年11月9日 | 2026年11月9日 |
| 発行数 | 200,000個 | 200,000個 |
| 1個当たり株式数 | 100株 | 100株 |
| 潜在株式数 | 20,000,000株 | 20,000,000株 |
| 発行価額 | 1個8円、総額1,600,000円 | 1個1円、総額200,000円 |
| 当初行使価額 | 60円 | 60円 |
| 価格条件 | 原則として2取引日ごとに、直前2連続取引日の終値単純平均の100%へ修正 | 市場価格に連動する修正なし。ただしフルラチェット方式等の調整条項あり |
| 下限行使価額 | 30円 | 下限価額の記載なし |
| 行使期間 | 2026年11月10日~2028年11月10日 | 2026年11月10日~2031年11月10日 |
| 会社開示の調達資金額 | 1,201,600,000円 | 1,200,200,000円 |
| 行使義務 | 一定条件の下で部分行使コミットあり | 行使義務なし |
調達額と資金が入るタイミング
【事実】会社が示した払込金額の総額は24億180万円です。内訳は、新株予約権の発行価額180万円と、全数が当初行使価額60円で行使されたと仮定した行使代金24億円です。発行諸費用の概算額2,125万円を控除した差引手取概算額は23億8,055万円です。
- 新株予約権の発行価額:1,800,000円
- 当初行使価額ベースの行使代金:2,400,000,000円
- 払込金額の総額:2,401,800,000円
- 発行諸費用の概算額:21,250,000円
- 差引手取概算額:2,380,550,000円
【分析】確定的な初期入金は新株予約権代金180万円に限られ、調達額の大部分は将来の行使に依存します。第41回は行使価額が株価に応じて変わるため、全数が行使されても実際の調達額は12億160万円と一致するとは限りません。第42回も行使されなければ行使代金は入りません。
第41回新株予約権:EVO FUND向けコミット・イシュー
【事実】第41回の当初行使価額は60円です。割当日の2取引日後に最初の修正が行われ、その後は原則として2取引日ごとに、修正日に先立つ2連続取引日の終値の単純平均値の100%へ修正されます。参照価格からのディスカウントはありませんが、1円未満は切り捨てられます。下限行使価額は30円です。
【事実】EVO FUNDは、原則として2026年11月10日から2027年11月10日までに、当初行使価額60円に1,000万株を乗じた6億円以上に対応する数の第41回新株予約権を行使することを確約しています。ただし、株価が30円以下となる場合、売買停止、ストップ安、会社による行使停止指定などの事由がある場合には、コミット期間が延長されます。また、会社が取得通知を行うなどした場合にはコミット義務が消滅します。
【分析】6億円は、行使する新株予約権数を決めるために当初行使価額を用いた基準です。実際の会社への入金額は各行使時の行使価額で決まるため、「6億円の現金調達が無条件で保証される」と読むのは適切ではありません。
【事実】会社は行使停止期間を何度でも指定でき、必要性がなくなった場合などには、払込金額と同額で残存する第41回新株予約権の全部または一部を取得できます。一方、部分コミット期間中に会社が取得通知を行った場合などには、EVO FUNDのコミット義務が消滅します。
【事実】EVO FUNDは純投資目的で、行使取得株式を基本的に市場内で売却する方針です。会社は、スワップなどにより第三者へ経済的エクスポージャーを移転しないことや、会社の要請に応じて取引記録を共有することを確認したと説明しています。
第42回新株予約権:窪田良氏向け固定価額型
【事実】第42回の行使価額は60円で、市場株価に連動する定期的な修正条項はありません。行使期間は5年間で、窪田良氏に行使義務はありません。
【事実】第42回にはフルラチェット方式の行使価額調整条項があります。会社が将来、当時の行使価額を下回る価格で普通株式や一定の新株予約権等を発行した場合、原則として第42回の行使価額も同じ水準へ調整されます。
【事実】ただし、監査等委員会の全会一致による賛成意見が得られない場合、会社は対象となる新株発行等を調整条項の適用対象外とするよう第42回の発行要項を変更します。窪田良氏は、その変更にあらかじめ同意するとされています。
【分析】第42回は「固定行使価額型」とされていますが、将来の低価格発行があった場合に行使価額が下がる可能性があります。したがって、60円が5年間を通じて必ず維持されるわけではありません。一方、市場株価の下落だけを理由に自動的に行使価額が下がる設計ではありません。
【事実】窪田良氏は、行使資金を確保するため、既に保有する同社株式または第42回の行使で取得する株式の一部を売却する予定です。売却対象とならなかった株式は中長期保有する方針とされています。
潜在株式と希薄化
【事実】本件の潜在株式数は合計4,000万株です。会社は、2026年8月31日現在の発行済株式数162,144,288株を分母とする希薄化率を24.67%、議決権数1,620,278個を分母とする議決権ベースの希薄化率を24.69%と開示しています。
- 第41回潜在株式数:20,000,000株
- 第42回潜在株式数:20,000,000株
- 合計潜在株式数:40,000,000株
- 発行済株式数に対する会社開示の希薄化率:24.67%
- 議決権ベースの会社開示の希薄化率:24.69%
【事実】2026年9月30日現在、ストックオプションに係る潜在株式数が別途11,881,400株あります。会社が示した24.67%および24.69%は、本件の4,000万株を基礎とする希薄化率であり、この既存ストックオプションを合算した完全希薄化率ではありません。
【分析】第41回は株価が下がっても潜在株式数が2,000万株を超えて増える設計ではありません。株価下落時に変動する主な項目は行使価額と調達額です。第42回もフルラチェット調整によって目的株式数が増えるのではなく、同じ株式数に対して行使代金が減少する可能性があります。
資金使途
| 具体的な使途 | 金額 | 支出予定時期 |
|---|---|---|
| 研究開発及び事業化に関連する費用 | 1,380百万円 | 2027年1月~2031年12月 |
| 事業運営に係る運転資金 | 1,000百万円 | 2027年1月~2028年12月 |
| 合計 | 2,380百万円 | - |
【事実】研究開発及び事業化費用1,380百万円の内訳は、スターガルト病治療候補薬「エミクススタト塩酸塩」に約780百万円、クボタメガネ・テクノロジーに約600百万円です。
- エミクススタトの他国・地域への展開:約360百万円
- フランスでの当局対応、品質管理、FDAとの協議、提携先探索など:約420百万円
- クボタメガネ関連の協業・研究開発:約280百万円
- 医療機器登録に向けた臨床試験等:約320百万円
【事実】運転資金1,000百万円は、人件費、外部委託費、管理費用その他の一般事業運営費用に充当されます。会社は年間約600~700百万円の事業運営費用が発生していると説明しています。
【推論】資金使途には2031年までの支出が含まれる一方、第41回の行使期間は2028年11月まで、第42回には行使義務がありません。後半年度の資金確保は、第42回の行使、株価、事業進捗に左右される構造です。
既存ファイナンスとの関係
【事実】会社は2025年12月、窪田良氏らへの普通株式4,500万株と、EVO FUNDへの第38回新株予約権4,500万株分を発行しました。前回資金調達による実際の差引手取額は約614百万円で、第38回新株予約権は2026年7月7日までに全数行使されています。
【事実】前回資金の使途は今回変更されました。API製造関連費用を400百万円から200百万円へ減額し、製剤製造等を214百万円から414百万円へ増額しています。2026年9月末時点の充当済額は182百万円で、残額432百万円は未充当です。
【事実】2024年9月発行の第33回新株予約権は全数行使済みで、差引手取額791,281,848円は全額充当済みです。当初350百万円としていた研究開発資金への充当は169百万円となり、不足額約181百万円は手元資金で補ったと説明されています。
【分析】今回の調達は、既存証券の借換えや消却を目的とするものではなく、新たに最大4,000万株の潜在株式を追加するものです。一方、前回調達資金432百万円が未充当であるため、今回資金と前回資金の使途・充当時期を分けて追跡する必要があります。
大株主への影響
【事実】会社の募集後試算では、窪田良氏の持株比率は26.34%から31.02%へ上昇します。この試算は、本件4,000万株が全て発行され、第42回の2,000万株を窪田良氏が取得する前提です。EVO FUNDは取得株式を売却する方針であるため、募集後大株主表には記載されていません。
【不明】第41回・第42回の実際の行使順序、窪田良氏による資金確保目的の売却数量、EVO FUNDの市場売却数量が確定していないため、将来の実際の持株比率は現時点では不明です。
PIPESとしての論点
1.「24億円調達」と「180万円の初期入金」を分ける
【一般論】新株予約権では、発行時に入る新株予約権代金と、将来の行使時に入る行使代金を分ける必要があります。本件では、差引手取概算額23億8,055万円の大部分が将来行使に依存します。
2.2種類の新株予約権で調達確度が異なる
【分析】第41回には部分行使コミットがありますが、例外事由と義務消滅条項があります。第42回は5年間の行使期間がある一方、行使義務はありません。合計額だけでなく、証券ごとの資金流入条件を分けて評価すべき案件です。
3.第42回は固定型でも60円が絶対ではない
【一般論】「行使価額固定型」と記載されていても、株式分割等の通常調整や、低価格発行に連動するフルラチェット条項が付される場合があります。本件では、監査等委員会の全会一致を条件とした適用制御が設けられています。
4.会社開示の希薄化率は既存潜在株式を含む完全希薄化率ではない
【分析】会社開示の24.67%は今回の4,000万株を発行済株式数で除した値です。別途11,881,400株のストックオプションが存在するため、資本構成全体を見る際には既存潜在株式も別に管理する必要があります。
5.前回調達資金の変更・未充当額も追跡対象
【分析】前回調達資金には432百万円の未充当額があり、今回の調達資金とは異なる製造費用等へ充当される予定です。各資金調達を一括せず、調達回号別・使途別に進捗を確認する必要があります。
今後の追跡項目
- 2026年11月9日の第41回・第42回新株予約権の払込完了
- 第41回の初回行使価額修正と、その後の修正価額
- 第41回の月間行使状況、大量行使、未行使残高
- 部分行使コミットの進捗、期間延長事由、義務消滅の有無
- 会社による行使停止指定、取得、消却の有無
- EVO FUNDの大量保有報告書・変更報告書と市場売却
- 第42回の行使状況と窪田良氏による株式売却
- 将来の低価格発行とフルラチェット調整の適用有無
- 監査等委員会の意見内容
- 実際の調達額と資金使途別の充当状況
- 前回調達資金の未充当額432百万円の充当状況
- フランスのコンパッショネート・ユース承認の取得可否と時期
- エミクススタトの提携先探索、FDAとの協議、臨床開発の進展
- クボタメガネ・テクノロジーの臨床試験開始時期と規模
未確認事項
- 第41回・第42回が実際に何個行使されるか
- 第41回の実際の平均行使価額と最終的な調達額
- 第42回が60円または調整後価額で行使されるか
- 第42回の行使資金を確保するための株式売却数量と時期
- フルラチェット調整の対象となる将来の資金調達が行われるか
- 本件と既存ストックオプションを含む実際の完全希薄化後株式数
- 資金使途に記載された研究開発・事業化計画が予定どおり進むか
- 添付一次資料の公開URL
一次資料
本記事の事実認定は、添付された窪田製薬ホールディングス株式会社の2026年10月23日付開示資料のみに基づいています。公開URLは提供資料から確認できないため記載していません。
本記事は開示資料の構造整理を目的とするもので、特定の有価証券の取得、売却または保有を推奨するものではありません。









