THE WHY HOW DO COMPANY株式会社(証券コード:3823)の第三者割当は、2026年4月13日に発行価額の総額の払込みが完了した新株予約権型の資金調達です。本件では、第16回新株予約権に行使価額修正条項が付されており、いわゆるMSワラント型のPIPESとして整理できる特徴があります。
一方で、第17回から第19回の新株予約権については行使価額修正条項が付されておらず、固定行使価額型の新株予約権として設計されています。本記事では、THE WHY HOW DO COMPANYの第三者割当について、調達額、割当先、資金使途、希薄化率、株価への影響、既存株主が確認すべきポイントを一次資料ベースで整理します。
この記事でわかること
- THE WHY HOW DO COMPANYの第三者割当新株予約権の概要
- 第16回新株予約権と第17回乃至第19回新株予約権の違い
- MSワラント型PIPESとして見るべきポイント
- 資金使途とM&A戦略との関係
- 希薄化22.07%が既存株主に与える影響
THE WHY HOW DO COMPANYの第三者割当とは
THE WHY HOW DO COMPANYは、2026年3月27日付の取締役会決議に基づき、第三者割当による第16回新株予約権、第17回乃至第19回新株予約権を発行しました。その後、2026年4月13日に発行価額の総額の払込みが完了したことを公表しています。
本件は、上場企業が特定の投資家に対して新株予約権を割り当てる資金調達であり、市場を通じた公募増資ではありません。そのため、広い意味ではPIPES(Private Investment in Public Equity)型の資金調達として分析することができます。
ただし、本件は普通株式の直接発行ではなく、新株予約権の第三者割当です。さらに、第16回新株予約権には行使価額修正条項が付されているため、一般的な固定価格型のPIPESとは異なり、MSワラント型の性格を持つ点が重要です。
本件の取引概要
| 会社名 | THE WHY HOW DO COMPANY株式会社 |
|---|---|
| 証券コード | 3823 |
| 上場市場 | 東証スタンダード |
| 資金調達手法 | 第三者割当による新株予約権の発行 |
| 対象証券 | 第16回新株予約権、第17回乃至第19回新株予約権 |
| 払込完了日 | 2026年4月13日 |
| 潜在株式数 | 合計29,000,000株 |
| 希薄化率 | 22.07% |
割当先の整理
本件では、第16回新株予約権と第17回乃至第19回新株予約権で割当先が異なります。
第16回新株予約権の割当先
- Long Corridor Alpha Opportunities Master Fund
- MAP246 Segregated Portfolio, a segregated portfolio of LMA SPC
- BEMAP Master Fund Ltd.
第16回新株予約権は、複数の海外系投資家に対して割り当てられています。行使価額修正条項が付されているため、株価動向に応じて行使価額が修正される設計です。
第17回乃至第19回新株予約権の割当先
- 株式会社機山
第17回から第19回の新株予約権は、株式会社機山に対して割り当てられています。これらの新株予約権には行使価額修正条項は付されておらず、当初行使価額がそれぞれ設定されています。
新株予約権の条件
第16回新株予約権の条件
| 発行新株予約権数 | 210,000個 |
|---|---|
| 潜在株式数 | 21,000,000株 |
| 発行価額 | 756,000円 |
| 当初行使価額 | 48円 |
| 行使価額修正条項 | あり |
| 下限行使価額 | 30円 |
| 権利行使期間 | 2026年4月14日から2027年4月13日まで |
第16回新株予約権は、修正基準日の東京証券取引所における普通株式の終値の90%に相当する金額を基準として、行使価額が修正される設計です。下限行使価額は30円とされています。
第17回乃至第19回新株予約権の条件
| 発行新株予約権数 | 80,000個 |
|---|---|
| 潜在株式数 | 8,000,000株 |
| 発行価額総額 | 3,867,000円 |
| 当初行使価額 | 第17回48円、第18回51円、第19回53円 |
| 行使価額修正条項 | なし |
| 権利行使期間 | 2026年4月14日から2028年4月13日まで |
第17回乃至第19回新株予約権は、いずれも行使価額の修正は行われない設計です。そのため、第16回新株予約権とは性質が異なります。
調達資金額の見方
本件で注意すべき点は、2026年4月13日に完了したのは新株予約権の発行価額の総額の払込みであり、新株予約権の行使による資金がすべて入金済みという意味ではない点です。
開示上の調達資金の額は、各新株予約権が当初行使価額で全て行使された場合を前提とした見込額です。したがって、実際の調達額は、今後の行使状況や行使価額の修正・調整によって増減する可能性があります。
| 区分 | 調達資金の額 |
|---|---|
| 第16回新株予約権 | 1,008,756,000円 |
| 第17回乃至第19回新株予約権 | 410,367,000円 |
| 合計 | 1,419,123,000円 |
なお、有価証券届出書では、発行諸費用の概算額を15,000,000円とし、差引手取概算額は1,404,123,000円とされています。
資金使途はM&A取得資金が中心
本件の資金使途は、単なる運転資金ではなく、M&A戦略と強く結びついています。開示資料では、調達資金の一部を飯山土建株式会社の株式取得に充当する予定であることが記載されています。
具体的には、第2回無担保普通社債により調達する資金について、飯山土建株式会社の取得資金450百万円、デューデリジェンス費用等15百万円が予定されています。また、本第三者割当により調達する資金を活用し、成長戦略の中核であるM&Aの一環として飯山土建株式会社の株式取得を実施する予定である旨が記載されています。
この点から見ると、本件は財務補填だけを目的とした資金調達というより、M&Aを通じた事業拡大・収益基盤強化を目的としたPIPES型ファイナンスとして位置づけることができます。
希薄化率22.07%の意味
本新株予約権がすべて行使された場合に交付される株式数は、合計29,000,000株です。2026年3月27日現在の発行済株式総数131,420,693株を分母とした希薄化率は22.07%とされています。
希薄化率22.07%は、既存株主にとって無視できない水準です。特に、新株予約権の行使が進むと発行済株式数が増加し、既存株主の持分比率や1株当たり利益の低下要因となります。
一方で、調達資金がM&A取得資金として有効に使われ、取得対象会社が安定的なキャッシュフローやEBITDAの増加に貢献する場合には、希薄化によるマイナス影響を将来の企業価値向上で補える可能性もあります。
MSワラント型PIPESとして見るポイント
第16回新株予約権は、行使価額修正条項付きの新株予約権です。これは一般にMSワラントと呼ばれる類型に近い設計です。
MSワラント型の資金調達では、株価が下落した場合でも行使価額が修正されるため、投資家側にとっては行使しやすい設計になります。一方で、発行会社の株価が下落した局面でも株式発行が進む可能性があり、既存株主にとっては需給悪化や希薄化が意識されやすくなります。
本件では、第16回新株予約権の潜在株式数が21,000,000株と、全体29,000,000株の大きな割合を占めています。そのため、既存株主や投資家は、第16回新株予約権の行使状況、行使価額の修正、株価推移を継続的に確認する必要があります。
株価への影響をどう見るべきか
第三者割当による新株予約権の発行は、一般的に株価に対してプラス・マイナス両面の材料になります。
プラス材料になり得る点
- M&A資金の確保により成長戦略を進めやすくなる
- 飯山土建株式会社の取得により安定的なキャッシュフロー獲得が期待される
- 財務基盤の強化につながる可能性がある
- 資本市場からの資金調達により事業展開の選択肢が広がる
マイナス材料になり得る点
- 最大29,000,000株の潜在株式による希薄化が発生する
- 第16回新株予約権は行使価額修正条項付きであり、株価下落局面で需給悪化が意識されやすい
- 新株予約権の行使に伴う売却圧力が市場で警戒される可能性がある
- M&Aの成果が見えない場合、希薄化だけが先行して評価されるリスクがある
つまり、本件の評価は「希薄化を伴う資金調達」という短期的なマイナス要因と、「M&Aによる収益基盤強化」という中長期的なプラス要因のどちらが市場に強く評価されるかによって変わります。
既存株主が確認すべきポイント
THE WHY HOW DO COMPANYの第三者割当を見るうえで、既存株主が特に確認すべきポイントは以下の通りです。
- 第16回新株予約権の行使がどのペースで進むか
- 行使価額がどの水準に修正されるか
- 株価下落局面で行使・売却が進む構造になっていないか
- 飯山土建株式会社のM&Aが業績にどの程度寄与するか
- 調達資金が予定通り使われるか
- 追加の資金調達やさらなる希薄化リスクがないか
特にMSワラント型の新株予約権では、発行時点の条件だけでなく、その後の行使状況が重要です。発行後の月次行使状況や大量保有報告書、適時開示を追いながら、実際にどの程度の希薄化が進んでいるかを確認する必要があります。
PIPES事例としての評価
本件は、上場企業が特定の投資家に対して市場外で新株予約権を発行している点で、PIPES型資金調達の一例として整理できます。
一方で、一般的な「固定価格での株式発行型PIPES」とは異なり、第16回新株予約権に行使価額修正条項が付されているため、MSワラント型PIPESとしての側面が強い案件です。
このようなスキームでは、発行会社にとっては資金調達の確実性を高めやすい一方、既存株主にとっては希薄化と株式需給への影響が大きな論点になります。したがって、PIPES事例として分析する際には、「誰が引き受けたか」だけでなく、「どのような証券が発行されたか」「行使価額は固定か修正型か」「資金使途は企業価値向上につながるか」をセットで見ることが重要です。
まとめ
THE WHY HOW DO COMPANYの第三者割当は、第16回新株予約権に行使価額修正条項が付されたMSワラント型PIPESとして注目すべき資金調達です。潜在株式数は合計29,000,000株、希薄化率は22.07%であり、既存株主にとって一定の希薄化リスクがあります。
一方で、調達資金はM&A戦略と結びついており、飯山土建株式会社の取得を通じて安定的キャッシュフローの獲得やEBITDAの増加、財務基盤の強化を目指す内容です。そのため、本件を評価する際には、短期的な希薄化リスクだけでなく、M&Aによる企業価値向上が実現するかどうかを見極める必要があります。
投資家は、今後の新株予約権の行使状況、株価推移、M&Aの進捗、資金使途の実行状況を継続的に確認することが重要です。
投資判断上の注意
本記事は、公開情報をもとに第三者割当増資・新株予約権・PIPES型資金調達の仕組みを整理する目的で作成したものです。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は、必ず最新の適時開示、有価証券届出書、株価、出来高、財務情報を確認したうえでご自身の責任で行ってください。
PIPESについてもっと詳しく知りたい方へ
PIPESの仕組みや活用方法については、PIPES(パイプス)とは?上場企業のための新しい資金調達スキームをご覧ください。
第三者割当増資の基本については、第三者割当増資とは?仕組み・メリット・株価影響を解説をご覧ください。
希薄化率の計算方法については、希薄化率の計算方法を解説|第三者割当増資で何%薄まるのか?をご覧ください。
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