PIPEs・資本戦略レポート

ステラファーマがCVIに第三者割当|希薄化率24.09%を解説

ステラファーマがCVIに第三者割当

ステラファーマがCVIに第三者割当|希薄化率24.09%のエクイティ・プログラムを解説

ステラファーマ株式会社(4888・東証グロース)は2026年8月13日、CVI Investments, Inc.を割当先とする第3回第三者割当による新株式および第7回新株予約権の発行を決議しました。

今回の資金調達は、2026年3月に設定された「株式及び新株予約権発行プログラム」に基づくもので、普通株式と固定行使価額型の新株予約権を組み合わせながら、合計4回に分けて資金を調達する設計になっています。

プログラム全体では普通株式400万株、新株予約権による潜在株式420万株、合計最大820万株が発行対象となり、希薄化率は最大24.09%です。

注目すべきなのは、この新株予約権が一般的なMSワラントのような行使価額修正型ではないことです。

第3回新株予約権の行使価額は455円に固定されており、発行決議日前日の株価に対して140%という高い水準に設定されています。

本記事では、ステラファーマのCVI Investments向け資金調達について、第三者割当の条件、希薄化率、資金使途、MSワラントとの違い、そして既存株主が確認すべきポイントを整理します。

ステラファーマとは

ステラファーマは、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に使用される医薬品の開発・製造販売を行うバイオ企業です。

BNCTは、がん細胞に取り込ませたホウ素と中性子との反応を利用して、がん細胞を選択的に破壊することを目指す治療法です。

同社は2020年に、切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部癌を対象とするBNCT用医薬品「ステボロニン」を上市しています。

現在は頭頸部癌だけでなく、再発悪性神経膠腫、初発膠芽腫、深部がんなどへの適応拡大や、海外展開、次世代ホウ素化合物の開発を進めています。

こうした複数の研究開発テーマを同時に進めるため、継続的かつ大規模な資金需要が発生しています。

CVI Investmentsを割当先とする4回のエクイティ・プログラム

ステラファーマは2026年3月31日、米国の機関投資家であるHeights Capital Management, Inc.が運用するCVI Investments, Inc.との間で、Equity Program Agreementを締結しました。

この契約では、一度に大量の株式を発行するのではなく、普通株式と新株予約権を4回に分けて発行する仕組みが採用されています。

項目 内容
割当先 CVI Investments, Inc.
運用会社 Heights Capital Management, Inc.
発行回数 最大4回
普通株式 最大4,000,000株
新株予約権 42,000個
潜在株式数 最大4,200,000株
合計最大株式数 8,200,000株
最大希薄化率 24.09%

CVI Investmentsについては、以下の記事で投資主体、Heights Capital Managementとの関係、日本企業への投資事例を詳しく整理しています。

CVI Investmentsとは?日本上場企業への投資先一覧と資金調達手法を解説

2026年8月の第3回第三者割当の内容

2026年8月13日に決議された第3回第三者割当では、普通株式100万株と第7回新株予約権10,500個がCVI Investmentsに割り当てられます。

普通株式の発行条件

払込期日 2026年8月31日
発行株式数 1,000,000株
発行価額 1株299円
調達額 299,000,000円
割当先 CVI Investments, Inc.

第7回新株予約権の発行条件

新株予約権数 10,500個
潜在株式数 1,050,000株
新株予約権発行価額 1個194円
行使価額 1株455円
行使期間 2026年9月1日~2030年8月31日
割当先 CVI Investments, Inc.

第7回新株予約権がすべて行使された場合、新株予約権の発行分と行使分を合わせた資金調達額は479,787,000円です。

普通株式による299,000,000円と合わせると、第3回第三者割当による払込金額総額は778,787,000円となります。

発行諸費用を差し引いた手取概算額は771,499,000円です。

最大のポイントは「MSワラントではない」こと

今回のCVI向け新株予約権を理解するうえで非常に重要なのが、行使価額の設定方法です。

一般的なMSワラントでは、市場株価が下落すると、それに合わせて新株予約権の行使価額も下方修正される仕組みが採用されることがあります。

これに対して、ステラファーマの今回のエクイティ・プログラムでは、新株予約権の行使価額は各回の発行時に決定され、その後、市場株価に連動して継続的に修正される仕組みではありません。

第3回については、発行決議日前日の株価を基準として、その140%に相当する455円が行使価額として設定されています。

発行回 新株予約権の行使価額設定
第1回 基準株価の120%
第2回 基準株価の130%
第3回 基準株価の140%
第4回 基準株価の140%

つまり、普通株式によって一定額を先に調達しつつ、新株予約権については企業価値や株価が上昇した場合に追加資金を調達する「アップサイド型」の設計と見ることができます。

これは、株価下落局面でも行使価額を下げながら資金調達を進めるMSワラントとは異なる特徴です。

MSワラントについては、以下の記事で仕組みを詳しく解説しています。

MSワラントとは?仕組み・希薄化リスク・株価への影響を解説

普通株式は市場価格の92%で発行

一方、普通株式については各回の発行決議日前日の終値の92%に相当する価格で発行する設計です。

第3回では1株299円となりました。

つまり、ステラファーマのエクイティ・プログラムは、

  • 普通株式=市場価格に対して一定のディスカウントで発行
  • 新株予約権=市場価格より高い固定行使価額を設定

という2つの仕組みを組み合わせています。

会社側から見れば、普通株式部分で当面の成長資金を確保し、株価が上昇すれば新株予約権によってさらに資金を調達できる構造です。

プログラム全体の希薄化率は24.09%

今回の資金調達を見る場合、第3回だけを見るのではなく、4回のエクイティ・プログラム全体を見る必要があります。

プログラム全体では、普通株式400万株と新株予約権による潜在株式420万株、合計最大820万株が発行されます。

2025年9月30日時点の発行済株式総数34,034,100株を基準とした希薄化率は24.09%です。

20%を超える希薄化は既存株主にとって無視できない規模です。

ただし、820万株が一度に発行されるわけではありません。

普通株式と新株予約権を4回に分けて発行することで、ステラファーマは一時的な希薄化や株価への影響を分散させる設計を採用しています。

また、新株予約権による420万株については、実際に権利行使されなければ株式は発行されず、その分の資金も調達されません。

希薄化率の考え方については、以下の記事も参考になります。

PIPEs|上場企業の資本戦略

第3回調達資金約7.71億円は何に使われるのか

第3回第三者割当による差引手取概算額771百万円は、主にBNCTの研究開発と海外展開に使用される予定です。

資金使途 金額
希少がんを対象とする臨床試験関連費用 306百万円
深部がん治療に向けた研究開発費用 223百万円
海外展開・安定供給体制構築のための製造開発費用 242百万円
合計 771百万円

単なる運転資金の補填ではなく、臨床試験、適応拡大、海外展開など、将来の事業拡大に向けた研究開発投資が中心となっています。

CVIはなぜバイオ企業への投資が多いのか

今回のステラファーマだけでなく、CVI Investmentsは日本のバイオ・医療関連企業への第三者割当に繰り返し登場しています。

PIPES.jpで確認しているだけでも、リプロセル、レナサイエンスなどでCVIを割当先とする資金調達が行われています。

CVI Investmentsを運用するHeights Capital Managementは、バイオテクノロジーやヘルスケアを含む成長企業への投資実績を持つ投資会社です。

バイオ企業は、研究開発から承認、商業化まで長期間を要することが多く、売上が本格化する前にも継続的な研究開発資金が必要になります。

そのため、普通株式、新株予約権、転換社債などを組み合わせたPIPES型資金調達との親和性が高い分野でもあります。

CVI Investmentsの日本上場企業への投資先一覧はこちら

リプロセルのCVI案件との共通点

CVI Investmentsは、リプロセルにも同様に複数回に分けて普通株式と新株予約権を発行するエクイティ・プログラムを提供しています。

リプロセル案件でも、新株予約権は行使価額修正条項のない固定行使価額型となっています。

つまりCVIの日本企業への投資では、単純な「株価が下がるほど行使価額も下がるMSワラント」だけではなく、発行企業の資金需要や株価上昇余地を組み込んだ資金調達設計が確認できます。

リプロセルがCVIに第三者割当|希薄化率24.65%のPIPES型資金調達を解説

PIPESとして見るステラファーマ×CVI

PIPESとは、上場企業が公開市場で広く投資家を募集するのではなく、特定の投資家から私募形式で資金を調達する仕組みです。

ステラファーマの今回の資金調達は、

  • 東証グロース上場企業である
  • CVI Investmentsという特定の機関投資家に割り当てる
  • 普通株式と新株予約権を組み合わせている
  • 公開市場での公募増資ではない
  • 研究開発・成長投資のための資本調達である

という点から、典型的なPIPES型ファイナンスの一つとして整理できます。

PIPESとは?投資・金融での意味、第三者割当との違いを解説

既存株主が今後確認すべきポイント

1.第4回第三者割当

今回でプログラムは第3回まで進みました。

当初計画では第4回発行も予定されているため、今後の発行条件と株価水準を確認する必要があります。

2.新株予約権が実際に行使されるか

第7回新株予約権の行使価額は455円です。

市場株価が行使価額を下回った状態が続けば、新株予約権が行使されず、会社が想定した資金を調達できない可能性があります。

3.CVIによる株式保有・売却

第三者割当で取得された普通株式については、CVIがその後どの程度保有し、どの程度市場で売却するのかが株式需給に影響する可能性があります。

大量保有報告書や第三者割当株式の譲渡に関する開示も確認対象になります。

4.調達資金が企業価値向上につながるか

最終的に重要なのは、希薄化によって調達した資金がBNCTの適応拡大、臨床試験、海外展開などにつながり、企業価値を高められるかです。

希薄化そのものだけでなく、「希薄化によって得た資金からどの程度の企業価値を生み出せるのか」という視点で見る必要があります。

まとめ

ステラファーマは2026年8月13日、CVI Investmentsを割当先とする第3回第三者割当を決議しました。

普通株式100万株を299円で発行するとともに、行使価額455円の第7回新株予約権を発行し、第3回だけで差引手取概算額約7.71億円の資金調達を計画しています。

プログラム全体では普通株式400万株と潜在株式420万株、合計最大820万株となり、希薄化率は24.09%です。

一方で、新株予約権はMSワラントのような継続的な行使価額修正型ではなく、発行時の株価を大きく上回る固定行使価額を設定する点が大きな特徴です。

普通株式によってベースとなる資金を調達し、企業価値が向上した場合に新株予約権によって追加資金を調達するという、CVI Investmentsらしい段階型エクイティ・プログラムとして注目されます。

今後は第4回第三者割当の条件、新株予約権の行使状況、CVIの保有株式の変化、そして調達資金を使ったBNCT事業の進捗を継続的に確認する必要があります。


関連記事

免責事項:本記事は公開情報をもとに資本政策・資金調達の内容を整理したものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は必ず最新の適時開示資料等をご確認のうえ、ご自身の判断で行ってください。

“`

関連記事一覧

  1. ヴィレッジヴァンガードのPIPES型第三者割当とGPファンドへの新株予約権・CB発行を解説
  2. Chordia Therapeutics(190A)が野村證券へ第12回MSワラントを発行した資金調達を解説するアイキャッチ
  3. ジェイホールディングスの臨時株主総会の票読み、取締役3名選任案、大株主と浮動票の行方を解説する
  4. イオレ第三者割当
  5. JHDに何が起きた?
  6. JBイレブンのPIPES型資金調達を分析するアイキャッチ。Long Corridor、新株予約権、希薄化率23.28%を示す金融ニュース風デザイン
PAGE TOP
目次