- EVO FUNDとは何者か?投資手法・評判・MSワラントを徹底解説
- EVO FUNDを30秒で理解する
- EVO FUNDとは?基本情報
- EVO FUND・Evolution Financial Group・EVOLUTION JAPAN証券の違い
- EVO FUNDの歴史|日本市場で存在感を高めた経緯
- EVO FUNDはどのような投資家なのか
- EVO FUNDはアクティビストファンドなのか
- EVO FUNDが使う主な資金調達手法
- EVO-ZEROとは?ディスカウントゼロ型の第三者割当
- なぜ上場企業はEVO FUNDを選ぶのか
- EVO FUNDはなぜ「やばい」「手口」と検索されるのか
- EVO FUNDの「投資先」と「現在の保有銘柄」は同じではない
- EVO FUNDの代表的な投資・資金調達事例
- EVO FUNDが入ると株価は下がるのか
- EVO FUND案件で「売り圧力」が問題になる理由
- 大量保有報告書でEVO FUNDを見るときの注意点
- EVO FUND案件で既存株主が確認する10項目
- PIPESとして見るEVO FUND
- EVO FUNDの評価は「救世主」か「ハゲタカ」かという二択ではない
- EVO FUNDの投資先を調べるなら「ファンド名」ではなく案件を読む
- まとめ|EVO FUNDとは日本のエクイティ・ファイナンスを象徴する投資家
- EVO FUNDについてよくある質問
- 関連記事
- 主な外部参照
EVO FUNDとは何者か?投資手法・評判・MSワラントを徹底解説
最終更新:2026年8月19日
EVO FUND(エボファンド)は、日本の上場企業による第三者割当増資、新株予約権、MSワラント、転換社債型新株予約権付社債などの資金調達で、繰り返し名前が登場する機関投資家です。
メタプラネット、モダリス、WIZE、SANKO MARKETING FOODS、Delta-Fly Pharmaなど、EVO FUNDが関与する案件を追っている投資家も多いでしょう。
一方、検索では「EVO FUNDとは」「EVO FUND 何者」「EVO FUND 投資先」「EVO FUND 保有銘柄」に加えて、「EVO FUND やばい」「エボファンド 手口」「EVO FUND 評判」といった言葉も見られます。
なぜ、これほど注目されるのでしょうか。
結論から言えば、EVO FUNDは一般的な長期保有型の機関投資家とは性格が異なります。
上場企業の資金需要に対して、第三者割当、新株予約権、MSワラント、CBなどを組み合わせ、実際に資金調達を執行する能力を持つ「ファイナンス実行型」の投資家と見ると理解しやすくなります。
本記事では、EVO FUNDとは何者なのか、Evolution Financial GroupやEVOLUTION JAPAN証券との関係、投資スタイル、投資先、保有銘柄、MSワラントとの関係、希薄化や株価への影響まで、公開情報と実際の資金調達事例をもとに整理します。
EVO FUNDを30秒で理解する
- EVO FUNDはEvolution Financial Groupの中核投資ファンド
- ファンド自体は2006年12月に組成されたケイマン諸島籍の投資ファンド
- Evolution Financial Groupは2002年創業
- Michael Lerch(マイケル・ラーチ)氏が所有
- 日本の上場企業への第三者割当、新株予約権、CBなどへの投資実績が多い
- 公式には役員派遣を基本としない「パッシブな投資家」と説明
- 2012年に日本市場で初めて第三者割当を引き受けた
- 2024年8月にグループの第三者割当引受実績が累計100件に到達
- 2023年後半からディスカウントゼロの「EVO-ZERO」を展開
- 取得株式を長期保有せず、市場売却する方針が開示される案件も多い
EVO FUNDとは?基本情報
| 名称 | EVO FUND(エボファンド) |
|---|---|
| 位置付け | Evolution Financial Groupの中核投資ファンド |
| ファンド組成 | 2006年12月 |
| 法的形態 | ケイマン諸島法に基づく免税有限責任会社 |
| 目的 | 投資目的 |
| オーナー | Michael Lerch(マイケル・ラーチ)氏 |
| 日本での主な投資対象 | 上場企業の株式、新株予約権、転換社債型新株予約権付社債など |
| 日本国内での案件支援 | EVOLUTION JAPAN証券株式会社 |
| 投資スタイル | 純投資・ファイナンス実行型 |
EVOLUTION JAPAN証券の公式サイトでは、EVO FUNDについて、Evolution Financial Groupの中核となる投資ファンドであり、米系機関投資家として日本の上場企業に成長資金を提供していると説明しています。
また、2026年に公表された上場企業の第三者割当資料でも、EVO FUNDは上場株式への投資を主たる目的として2006年12月に設立されたケイマン諸島法上のファンドとして記載されています。
EVO FUND・Evolution Financial Group・EVOLUTION JAPAN証券の違い
EVO FUNDを理解するときに、最も混同しやすいのがこの3者です。
簡単に整理すると、次のような関係です。
| 名称 | 主な役割 |
|---|---|
| Evolution Financial Group | グループ全体 |
| EVO FUND | 実際に資金を投資する中核ファンド |
| EVOLUTION JAPAN証券 | 日本企業への資金調達提案、交渉、案件執行支援など |
つまり、上場企業の適時開示で「割当予定先:EVO FUND」と書かれている場合、実際に新株予約権などを引き受ける投資主体がEVO FUNDです。
一方、発行会社との間で資金調達方法を検討し、スキームの提案や交渉、案件執行を支援する役割を担うのがEVOLUTION JAPAN証券です。
EVO公式サイトでも、EVO FUNDが投資し、EVOLUTION JAPAN証券側が提案・交渉・案件執行を支援する関係が示されています。
したがって、「EVO FUND=EVOLUTION JAPAN証券」という理解は正確ではありません。
EVO FUNDの歴史|日本市場で存在感を高めた経緯
| 時期 | 主な出来事 |
|---|---|
| 2002年 | Evolution Financial Group創業 |
| 2006年12月 | EVO FUND組成 |
| 2012年 | EVO FUNDが日本市場で初めて第三者割当を引き受け |
| 2015年以降 | 日本上場企業への資金調達案件を継続的に拡大 |
| 2022年8月時点 | 2015年以降42社・70件の資金調達実績と公式説明 |
| 2023年後半 | ディスカウントゼロ型の「EVO-ZERO」を提案開始 |
| 2024年8月 | モダリス案件で第三者割当の引受実績が累計100件に到達 |
| 2026年 | 暗号資産、バイオ、事業再建など幅広い案件で引き続き登場 |
EVO公式によれば、2015年以降2022年8月までに42社70件の資金調達を実施し、その20%以上がEVOを繰り返し利用した企業だったとされています。
さらに2024年8月23日、モダリスへの第三者割当の払込完了により、Evolution Financial Groupとして日本での第三者割当引受実績が累計100件に到達したと発表しました。
この数字からも、EVO FUNDが単発的に登場する特殊なファンドではなく、日本の上場企業のエクイティ・ファイナンス市場で継続的に活動しているプレイヤーであることがわかります。
EVO FUNDはどのような投資家なのか
EVO FUNDを一般的な機関投資家と同じ感覚で見ると、理解しにくい部分があります。
たとえば、長期の企業価値向上を見込んで市場から普通株式を買い、そのまま数年間保有する「長期保有型ファンド」とは異なる案件が多く見られます。
EVO FUNDが強みを持つのは、企業が必要とする資金を、株式や新株予約権などを使って調達する局面です。
PIPES.jpでは、EVO FUNDを「ファイナンス実行型投資家」と整理しています。
資金を出すだけでなく、
- 第三者割当
- 新株予約権
- 行使価額修正条項付新株予約権
- 転換社債型新株予約権付社債
- 普通社債との組み合わせ
- 複数回に分けたエクイティ・プログラム
などを企業の資金需要に合わせて組み合わせる点が大きな特徴です。
EVO FUNDはアクティビストファンドなのか
EVO FUNDについて、大量保有報告書で高い保有比率が確認されると、「経営権を取りに来ているのではないか」と考える投資家もいるでしょう。
しかしEVO公式は、EVO FUNDについて「パッシブな投資家」と説明しています。
公式説明では、投資先企業の経営方針を尊重し、原則として役員派遣を行わず、いわゆる「物言う株主」であるアクティビストファンドとは対極の投資スタイルとしています。
したがって、EVO FUNDが一時的に高い株式保有比率となったからといって、それだけで経営支配を目的としていると判断するのは適切ではありません。
ただし、EVO関係者による企業経営への関与が将来的にも一切ないという意味ではありません。過去にはEvolution Financial Group創業者のMichael Lerch氏が個人として日本企業の役員に就任した事例もあります。
重要なのは、「EVO」という名前だけで判断するのではなく、その案件の割当契約、保有目的、役員派遣の有無、議決権、株券貸借などを個別に確認することです。
EVO FUNDが使う主な資金調達手法
EVO FUND案件を理解するには、使用される金融商品を区別する必要があります。
| 資金調達手法 | 特徴 | 既存株主が見るポイント |
|---|---|---|
| 普通株式の第三者割当 | 特定投資家へ直接新株を発行 | 発行価格、ディスカウント、即時希薄化 |
| 固定行使価額型新株予約権 | あらかじめ決めた価格で行使 | 行使価額と現在株価の関係 |
| MSワラント | 株価に応じて行使価額が修正 | 下限行使価額、行使速度、希薄化、売却圧力 |
| 転換社債型新株予約権付社債 | 社債を株式に転換できる | 転換価額、修正条項、潜在株式数 |
| 普通社債+新株予約権 | 先に社債で資金を確保し、ワラント行使資金で償還するケース | 社債と新株予約権を二重に調達額へ加算しないこと |
| コミット型プログラム | 一定期間に段階的な行使を行う | コミット条件、行使期間、停止条件 |
MSワラントの仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
MSワラントとは?株価下落・希薄化リスク・第三者割当との違いを解説
また、第三者割当そのものの仕組みについては、こちらを参照してください。
EVO-ZEROとは?ディスカウントゼロ型の第三者割当
EVO FUNDを語るうえで、近年重要になっているのが「EVO-ZERO」です。
Evolution Financial Groupは2023年後半から、第三者割当における発行価格のディスカウントをゼロとする「EVO-ZERO」の提案を開始したと公表しています。
従来、日本の第三者割当では市場価格から一定のディスカウントを設定することが珍しくありませんでした。
EVO-ZEROは、この発行時のディスカウントをなくすことで、既存株主への価格面での不利益を抑えることを狙った資金調達手法です。
ただし、ここは誤解してはいけません。
「ディスカウントゼロ」と「希薄化ゼロ」は別の話です。
新株や新株予約権が発行されれば、最終的に発行済株式数が増加する可能性があり、既存株主の持分は希薄化します。
したがって、EVO-ZERO案件でも、
- 潜在株式数
- 希薄化率
- 行使条件
- 売却方針
- 資金使途
を確認する必要があります。
なぜ上場企業はEVO FUNDを選ぶのか
EVO FUND案件を見ると、「なぜ銀行や公募増資ではなく、EVO FUNDなのか」という疑問が出てきます。
EVO公式は、自社の強みとして、リピーターの多さ、パッシブ投資、迅速で柔軟な意思決定、日本市場での豊富な経験を挙げています。
実際の上場企業の開示資料でも、EVO FUNDを選定した理由として、次のような要素が記載されるケースがあります。
- 資金調達の実行可能性が高い
- 新株予約権の引受・行使実績が豊富
- 株価や出来高に合わせて段階的に調達できる
- 取得株式の市場執行能力がある
- 企業の資金需要に合わせて柔軟な設計ができる
- 過去にも同じ企業の資金調達を完了した実績がある
特に赤字企業、研究開発型企業、新規事業へ大型投資を行う企業、財務再建中の企業などでは、公募増資や銀行借入だけでは必要資金を確保しにくい場合があります。
そこにEVO FUNDのような機関投資家が入ることで、資金調達そのものを成立させる選択肢が生まれます。
EVO FUNDはなぜ「やばい」「手口」と検索されるのか
GoogleなどでEVO FUNDを検索すると、「EVO FUND やばい」「エボファンド 手口」といった強い表現が関連して検索されることがあります。
ただし、EVO FUNDを「危険なファンド」と一括りにするのは適切ではありません。
こうした検索が生まれやすい理由は、主に資金調達の構造にあります。
理由1:希薄化率が大きい案件がある
EVO FUNDが関与する企業の中には、既存株式数に対して大きな潜在株式数を発行する案件があります。
例えばPIPES.jpで取り上げた2026年の案件では、WIZEの希薄化率は70.89%、Delta-Fly Pharmaは75.90%となっています。
希薄化率が大きければ、既存株主の1株当たりの持分は相対的に低下します。
理由2:取得株式が市場で売却されるケースがある
EVO FUNDは純投資目的であり、新株予約権を行使して取得した株式を長期間保有せず、市場で売却する方針が発行会社の開示資料に記載されることがあります。
会社にとっては、新株予約権が行使されることで資金が入ります。
一方、市場では新たに発行された株式が売却される可能性があるため、需給面で株価の上値を抑える要因になることがあります。
理由3:MSワラントは仕組みが複雑
MSワラントでは、株価の変動に応じて行使価額が修正される場合があります。
そのため、
- 株価下落
- 行使価額の低下
- より多くの株式が市場へ供給される
- 売却圧力が意識される
という構造が投資家に警戒されやすくなります。
しかし、MSワラントは発行会社側から見れば、一定期間をかけて段階的に資金を調達できるという利点もあります。
つまり、発行会社と既存株主では評価するポイントが異なります。
EVO FUNDの「投資先」と「現在の保有銘柄」は同じではない
EVO FUNDを調べる際に、最も注意したいポイントの一つです。
「過去にEVO FUNDが投資した企業」と「現在EVO FUNDが保有している企業」は同じではありません。
EVO FUNDは新株予約権を行使して株式を取得した後、市場で売却するケースがあります。
そのため、過去に大規模な資金調達を引き受けていても、現在は株式をほとんど保有していない可能性があります。
反対に、大量保有報告書で一時的に高い保有比率となっていても、それが長期保有を意味するとは限りません。
EVO FUNDの保有状況を見る場合は、少なくとも次の資料を時系列で確認する必要があります。
- 第三者割当の発行決議
- 有価証券届出書
- 新株予約権の月間行使状況
- 大量保有報告書
- 変更報告書
- 新株予約権の行使完了・取得・消却
PIPES.jpでは、確認できたEVO FUNDの投資先・案件について別ページで整理しています。
EVO FUNDの投資先一覧|保有銘柄・第三者割当案件を整理
EVO FUNDの代表的な投資・資金調達事例
EVO FUNDの特徴は、ファンドの説明だけを読むより、実際の案件を見る方がわかりやすくなります。
| 企業 | 主なスキーム | 注目ポイント |
|---|---|---|
| メタプラネット | 新株予約権など | ビットコイン取得を軸にした大規模エクイティ・ファイナンス |
| モダリス | 第三者割当 | Evolution Financial Groupの日本における100件目の引受案件 |
| WIZE | MSワラント型新株予約権 | 希薄化率70.89%、ソラナ取得資金 |
| SANKO MARKETING FOODS | DES+MSCB+MSワラント | 複数の金融商品を組み合わせた再建・成長投資型 |
| Delta-Fly Pharma | 新株予約権+無担保社債 | 希薄化率75.90%、旧ワラントからEVO FUNDへ切替 |
| ジェイホールディングス | MSワラント型新株予約権 | 資金調達後の株主構成・経営参画問題まで含めて追跡可能 |
メタプラネット|EVO FUNDを象徴する大型案件
近年、EVO FUNDの名前を広く知らしめた代表例の一つがメタプラネットです。
メタプラネットは、ビットコインを企業財務戦略の中心に据え、その取得資金を確保するために新株予約権などを活用した大型のエクイティ・ファイナンスを実施してきました。
EVO FUNDはその主要な資金提供者として登場しています。
メタプラネットが描くBTC財務革命と新株予約権による資金調達の全貌
WIZE|希薄化率70.89%、ソラナ購入へ
WIZEは2026年5月、EVO FUNDを割当予定先とする第39回新株予約権を発行しました。
潜在株式数は6,000万株、会社公表ベースの希薄化率は70.89%。調達資金の主な使途は暗号資産ソラナの追加取得です。
一般的な運転資金目的ではなく、暗号資産トレジャリー戦略を実行するための大型EVO FUND案件として注目されます。
WIZE、EVO FUND向けMSワラントを分析|希薄化率70.89%・ソラナ取得資金
SANKO MARKETING FOODS|DES・MSCB・MSワラントを組み合わせる
SANKO MARKETING FOODSは2026年5月、DES、新株予約権付社債、行使価額修正条項付新株予約権を組み合わせた複合型ファイナンスを実施しました。
EVO FUNDはCBと新株予約権部分の割当先となっています。
最大希薄化率は42.08%で、既存株主への影響が大きい一方、水産6次産業化を再構築するための成長資金を確保する設計となっています。
SANKO MARKETING FOODS、EVO FUND向けMSCB・MSワラント型PIPESを分析
Delta-Fly Pharma|マッコーリーからEVO FUNDへ
Delta-Fly Pharmaは2026年7月、EVO FUNDを割当先とする第12回新株予約権と無担保社債を発行しました。
注目すべきなのは、従来マッコーリー・バンクを割当先としていた新株予約権の資金調達が十分に進まなかったことから、残存ワラントを取得・消却し、EVO FUNDのスキームへ切り替えたことです。
会社公表の希薄化率は75.90%。過去6カ月以内の新株予約権行使分を合算すると99.88%という非常に大きな規模になります。
Delta-Fly PharmaがEVO FUNDへ第三者割当|希薄化率75.90%の新株予約権を解説
EVO FUNDが入ると株価は下がるのか
これはEVO FUNDについて最も多い疑問の一つですが、「EVO FUNDが入ったから株価が下がる」と一律に判断することはできません。
株価への影響を考えるには、少なくとも次の7項目を見る必要があります。
- 希薄化率
- 行使価額
- 行使価額の修正方法
- 下限行使価額
- 新株予約権の行使速度
- EVO FUNDによる取得株式の売却
- 調達資金によって生まれる企業価値
たとえば希薄化率が高くても、調達資金によって大きな事業成長が実現すれば、企業価値が増加する可能性があります。
逆に、希薄化を伴って資金を調達しても、赤字補填だけで資金が消費され、企業価値が増えなければ、既存株主にとって厳しい結果となる可能性があります。
つまり、本当に見るべきなのは「EVO FUNDが入ったか」ではありません。
何株増えるのか、いくら調達するのか、その資金で何をするのか。
この3点をセットで見る必要があります。
EVO FUND案件で「売り圧力」が問題になる理由
EVO FUNDが割当先となる新株予約権では、行使によって取得した株式を長期保有せず、適宜市場売却する方針が開示される案件があります。
この場合、資金調達は次のような流れになります。
① EVO FUNDが新株予約権を行使
↓
② 発行会社に行使代金が入る
↓
③ EVO FUNDが新たに発行された株式を取得
↓
④ 取得株式を市場等で売却
↓
⑤ EVO FUNDが投資資金を回収
↓
⑥ 条件が整えば次の行使へ
会社側にとっては、この行使が進むほど資金調達が進みます。
一方、市場から見れば、新たな株式供給が続く可能性があります。
ここに「会社にとっては資金調達」「既存株主にとっては希薄化・需給負担」というEVO FUND案件の二面性があります。
大量保有報告書でEVO FUNDを見るときの注意点
EVO FUNDが大量保有報告書を提出した場合、保有割合の数字だけを見るのは危険です。
確認すべきなのは、
- 株券等保有割合
- 保有目的
- 新株予約権を含むか
- 新株予約権の行使状況
- 市場内・市場外での売買
- 直近の変更報告書
- 株券貸借契約の存在
です。
大量保有報告書は、その時点でのスナップショットにすぎません。
EVO FUNDのように行使と売却を繰り返す可能性がある投資家の場合、数週間、場合によっては数日の間でも保有割合が変わることがあります。
したがって、EVO FUNDの「現在の保有銘柄」を確認するときは、必ず最新の変更報告書まで追う必要があります。
EVO FUND案件で既存株主が確認する10項目
| チェック項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 1. 資金調達手法 | 普通株、固定ワラント、MSワラント、CBなど |
| 2. 調達予定額 | 最大額だけでなく実際に調達できる条件 |
| 3. 潜在株式数 | 最大で何株増えるのか |
| 4. 希薄化率 | 発行済株式に対して何%増えるのか |
| 5. 行使価額 | 当初行使価額と修正方法 |
| 6. 下限行使価額 | 株価下落時にどこまで下がるか |
| 7. 行使期間 | 短期型か長期型か |
| 8. 保有・売却方針 | 長期保有か市場売却か |
| 9. 資金使途 | 成長投資か赤字補填か借入返済か |
| 10. 過去の資金調達 | 短期間で複数回の増資を行っていないか |
PIPESとして見るEVO FUND
PIPES(Private Investment in Public Equity)は、上場企業が特定の投資家から私募的に資金を調達するファイナンスの考え方です。
日本では「PIPES」という名称そのものが適時開示に書かれるケースは多くありません。
しかし、EVO FUNDのような特定の機関投資家に対して、普通株式、新株予約権、CBなどを第三者割当する資金調達は、PIPES型ファイナンスとして整理できます。
EVO FUNDは、日本のPIPES市場を理解するうえで非常に重要なプレイヤーです。
EVO FUNDの評価は「救世主」か「ハゲタカ」かという二択ではない
EVO FUNDについては、評価が極端になりやすい傾向があります。
資金不足の上場企業に大量の資金を提供することから「救世主」と見る人がいる一方、希薄化や市場売却を伴うことから否定的に見る投資家もいます。
しかし、どちらか一方だけでEVO FUNDを評価するのは適切ではありません。
企業側から見れば、銀行借入や公募増資では実現できない資金調達を成立させる重要な投資家です。
一方、既存株主から見れば、潜在株式数の増加、希薄化、継続的な市場売却というコストが発生する可能性があります。
そのためEVO FUND案件では、
「資金調達によって増える企業価値」
と、
「希薄化と需給によって既存株主が負担するコスト」
を比較する必要があります。
EVO FUNDの投資先を調べるなら「ファンド名」ではなく案件を読む
EVO FUNDを理解する一番の方法は、個別案件を比較することです。
同じEVO FUNDでも、
- バイオ企業の研究開発資金
- 暗号資産の購入資金
- 企業再建の運転資金
- M&A資金
- 借入金返済
- 新規事業投資
では、ファイナンスの意味がまったく異なります。
そのためPIPES.jpでは、「EVO FUNDが入った」という情報だけで判断するのではなく、案件ごとに調達額、希薄化率、行使条件、資金使途、その後の行使状況まで追跡します。
最新の確認済み案件はこちらで更新しています。
EVO FUNDの投資先一覧|保有銘柄・第三者割当案件を整理
まとめ|EVO FUNDとは日本のエクイティ・ファイナンスを象徴する投資家
EVO FUNDは、Evolution Financial Groupの中核を担う投資ファンドで、日本の上場企業に対する第三者割当、新株予約権、MSワラント、CBなどの資金調達で多数の実績を持っています。
公式には役員派遣を基本としないパッシブな投資家と位置付けられており、アクティビストとして経営支配を目的とするファンドとは性格が異なります。
一方で、新株予約権の行使によって取得した株式を市場で売却する案件も多く、既存株主にとっては希薄化と株式需給を慎重に確認する必要があります。
EVO FUNDを見るときに重要なのは、「良いファンドか悪いファンドか」という単純な評価ではありません。
見るべきなのは、
- どの金融商品を使うのか
- 何株増えるのか
- 何%希薄化するのか
- 行使価格はどう決まるのか
- 取得株式はどう処分されるのか
- 調達した資金を何に使うのか
- その資金が企業価値をどこまで増やせるのか
です。
EVO FUNDを理解することは、日本の第三者割当、新株予約権、MSワラント、そしてPIPES型資金調達そのものを理解することにつながります。
PIPES.jpでは、今後もEVO FUNDの新規案件、大量保有報告書、新株予約権の行使状況、資金使途、その後の企業再生・成長戦略を継続的に追跡していきます。
EVO FUNDについてよくある質問
EVO FUNDとは何ですか?
EVO FUNDは、Evolution Financial Groupの中核となる投資ファンドです。日本の上場企業による第三者割当、新株予約権、転換社債型新株予約権付社債などの資金調達で多数の投資実績があります。
EVO FUNDはどこの国のファンドですか?
上場企業の開示資料では、EVO FUNDはケイマン諸島法に基づく免税有限責任会社として記載されています。米系機関投資家として日本企業への投資を行っています。
EVO FUNDの運営会社はどこですか?
EVO FUNDはEvolution Financial Groupの中核ファンドです。日本企業との資金調達案件ではEVOLUTION JAPAN証券が提案、交渉、案件執行支援などを担っています。
EVO FUNDの代表者・オーナーは誰ですか?
EVO公式では、Evolution Financial GroupのCEOであるMichael Lerch(マイケル・ラーチ)氏がEVO FUNDを所有していると説明しています。
EVO FUNDはアクティビストですか?
EVO公式は、EVO FUNDを役員派遣を基本としない「パッシブな投資家」と説明しており、経営への積極的介入を目的とする一般的なアクティビストファンドとは異なる立場を示しています。
EVO FUNDはなぜ「やばい」と言われるのですか?
MSワラントや大規模な新株予約権を利用する案件があり、希薄化や取得株式の市場売却による株式需給への影響が警戒されるためです。ただし、EVO FUND自体を一律に危険と評価するのではなく、各案件の希薄化率、行使条件、資金使途を確認する必要があります。
EVO FUNDが入ると株価は下がりますか?
一概には言えません。新株予約権の行使と株式売却が需給面で下押し要因になる可能性がある一方、調達資金を利用した事業成長が評価されれば企業価値が上昇する可能性もあります。
EVO FUNDの現在の保有銘柄はどこで確認できますか?
大量保有報告書や変更報告書をEDINETで確認する方法が基本です。ただし、過去の投資先と現在の保有銘柄は異なるため、最新の変更報告書まで確認する必要があります。PIPES.jpでもEVO FUNDの投資先一覧を継続更新しています。
EVO FUNDとMSワラントは同じものですか?
同じものではありません。EVO FUNDは投資家の名称で、MSワラントは行使価額修正条項付新株予約権という資金調達手法です。EVO FUNDがMSワラントの割当先になる案件が多いため、両者が一緒に検索されています。
EVO-ZEROとは何ですか?
Evolution Financial Groupが2023年後半から提案を開始した、発行時のディスカウントをゼロとする第三者割当の考え方です。ただし、ディスカウントがゼロでも新株発行による希薄化までゼロになるわけではありません。
関連記事
- EVO FUNDの投資先一覧|保有銘柄・第三者割当案件を整理
- MSワラントとは?株価下落・希薄化リスク・第三者割当との違い
- 第三者割当増資とは?株価・既存株主・メリット・手続き
- 希薄化率の計算方法|第三者割当増資で何%薄まるのか?
- PIPESとは?投資・金融での意味をわかりやすく解説
- WIZE、EVO FUND向けMSワラント|希薄化率70.89%
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- ジェイホールディングスに何が起きているのか|EVO FUND型MSワラントを分析
主な外部参照
※本記事は、上場企業の適時開示、有価証券届出書、大量保有報告書、EVOLUTION JAPAN証券等の公開情報をもとに、資金調達スキームを分析したものです。特定銘柄または金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断にあたっては必ず最新の開示資料をご確認ください。
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